放送番組審議会

6月(第99回)

概要

 岩手朝日テレビの第99回番組審議会が平成18年6月29日(木)、盛岡市盛岡駅西通の岩手朝日テレビで開かれた。

合評番組はIAT学びの旅倶楽部スペシャル「斎藤純 岩手を愉しむ二人旅」。

  • 全国的にまだ知られていない短角牛などの紹介がよかった
  • 番組タイトルが、内容と懸け離れていた
  • テロップを出し過ぎ
  • 内容を詰め込み過ぎて、一つ一つが埋没してしまった
  • 映像の美しさが光っていた
  • 出演された作家の魅力が出ていなかった

という意見が出た。

出席委員は、増子義孝委員長、笠川さゆり委員、松尾正弘委員、松本直子委員、宮野裕子委員、村田久委員の6名。欠席委員は、石井三郎委員、小田島利昭委員、高橋真裕委員の3名。

議事録

1.開催日時

平成 18年 6月 29日(木)午前11時~

2.開催場所

岩手朝日テレビ 3階 会議室

3.委員の出席

委員総数 9名

出席委員数6名

委員長 増子 義孝

委員 笠川 さゆり

委員 松尾 正弘

委員 松本 直子

委員 宮野 裕子

委員 村田 久

欠席委員数3名

委員 石井 三郎

委員 小田島 利昭

委員 高橋 真裕

会社側出席者名

代表取締役社長 川崎 道生

常務取締役 小倉 潔

取締役報道制作局長 小椋 和雄

取締役総務局長 宮 孝志

技術局長 佐々木 正樹

報道制作部課長 奥原 文子

番組審議会事務局長 佐藤 祐介

4.議題

(1)7月単発番組について

(2)番組合評

IAT学びの旅倶楽部スペシャル「斎藤純 岩手を愉しむ二人旅」

(3)次回審議会

開 催 日:平成18年7月27日(木)11時~

合評課題:「純情応援歌~生徒がつくった学校紹介」

放送日時:7月12日(水)まで

毎週月~金 午後6時45分~午後7時

および

「第88回 全国高等学校野球選手権岩手大会」

放送日:7月13日(木)~7月23日(日)

5.概要

* 全国的にまだ知られていない短角牛などの紹介がよかった

* 番組タイトルが、内容と懸け離れていた

* テロップを出し過ぎ

* 内容を詰め込み過ぎて、一つ一つが埋没してしまった

* 映像の美しさが光っていた

* 出演された作家の魅力が出ていなかった

6.議事の内容

佐藤事務局長

 第99回放送番組審議会を始めます。

増子委員長

 それでは、川崎社長、一言お願いします。

川崎社長

 皆様、本日も大変お忙しい中ご出席賜りまして、ありがとうございます。

 私のほうから2つご報告させていただきます。

 一つは、お手元に資料として配布しておりますが、今週6月26日(月)、当社株主総会が終了致しました。

先ず17年度の決算の内容ですが、お蔭様で営業収益は前年度を僅かながら上回ったものの、純利益は前年度を下回りました。

これは、皆様ご存知の通り、デジタル関連の経費がかさんだことが要因で、これは許容の範囲と認識しております。

 それと、役員人事についての報告ですが、今回新しく2名の取締役を選任して頂きました。

 先ず1人目は、現在報道制作局長を務めております、小椋和雄君です。もう1人は、昨年岩手銀行から出向、現在総務局全般を担当しております、宮孝志君です。小椋君には今まで通り報道制作局長を、そして宮君には私が兼務してきた、総務局長に就任していただきます。また、合わせて、現取締役の小倉潔君が今回常務に昇任しました。

 それから、非常勤役員としまして、テレビ朝日ネットワーク局長に就任した、富永健治さんに取締役にご就任いただきました。

 二つめは、かねてから報告をさせていただいております、デジタル放送関連ですが、一番のポイントになっておりましたアナログからデジタルマスターへの切替えを6月1日に実施し、無事完了、当日から試験電波を発射しております。

 また、6日からは番組系も地上デジタルにて試験放送をスタートさせております。

 お蔭様で10月1日のデジタル本放送へ向けての一番の山が越せたところであります。

 私からは以上でございます。

増子委員長

 それでは、7月の単発番組についてお願いします。

佐藤事務局長

 本日、渋谷編成業務局長が所用の為、欠席しておりますので、私のほうから、ご説明させて頂きます。

 先ず、7月は恒例であります「全国高校野球選手権岩手県大会」の中継がございます。同大会は、今年で88回目を迎え、今年は「夏瞬間2006」と題し、雨天等による順延がなければ7月13日(木)~23日(日)までの期間、甲子園を目指す球児達の熱戦をお送りいたします。

 次に日をおってご紹介いたします。

 1日(土)午前3時40分からは「2006 FIFAワールドカップ」の準々決勝の模様を、また、同日から3日(月)まで「全米女子オープンゴルフ」のスポーツ番組を放送いたします。

 8日(土)午後1時25分からは、弊社の事業であります「IAT出前カラオケ総集編」の放送がございます。今回は2月18日のマース北上・4月16日の宮古・6月25日のマース盛岡で開催された3大会の模様を総集編でお送りいたします。

 15日(土) 午後5時からはJリーグスター選手の競演「2006 JOMO Jリーグオールスター」戦をカシマスタジアムからお送りします。

 16日(日)午後6時59分からは、ヤクルト対巨人の野球中継の模様を神宮球場から、また、19日(水)午後7時4分からは、伝統の一戦 阪神対巨人の一戦を甲子園球場からお送りします。

 20日(木)午後11時10分からは、タイガーウッズ・丸山茂樹選手などが出場し注目される「全英オープンゴルフ」初日の模様を、青木功さんの解説のもと、23日(日)の最終日まで4日間連続で放送します。

 29日(土)午後2時からは、6月24日から岩泉球場・龍泉洞グラウンドなどで開催された、全国スポーツ少年団軟式野球交流大会岩手県予選「岩手の牛乳カップ」を放送します。

 以上、7月の主な単発番組についてご紹介いたしました。

 続きまして、6月の視聴率につきましてご報告いたします。

 6月の視聴率は、全日平均視聴率では0.1%差の7.6%と惜しくも県内第4位となったものの、全日・ゴールデン・プライム・プライム2の全ての時間帯で、全月を上回る成績となりました。中でも、日本中を熱狂させた6月18日放送のワールドカップ 日本対クロアチア戦は、岩手県内で44.1%とIAT歴代第3位の好成績を納めました。この結果、プライム2の時間帯で平均8.5%を獲得し県内第1位の成績となりました。

 なお、視聴者応答記録につきましては、特に大きな、苦情、要望等はありませんでした。詳しくは資料をご覧下さい。

 以上です。

増子委員長

 それでは、IAT学びの旅倶楽部スペシャル「斎藤純 岩手を愉しむ二人旅」の合評に入ります。

松尾委員

 以前にも一度、学びの旅倶楽部については番組審議会で取り上げたことがありましたが、そのときは1年分の「学びの旅」のダイジェスト版の放送で、そこにプラスアルファの内容が盛り込まれておりました。

 今回は、ダイジェスト部分が前半で簡単に紹介されただけで、ほとんど斎藤純さんご夫妻が主演し、県内をバイクで走るという、オリジナル番組だったように思いました。

 内容は、県外から移住してきた人々を中心に取り上げ、「元々そこに住んでいる岩手県人の方々が気づかなかった地元の良さを紹介する」というのが番組の趣旨だったかと思います。

 それはそれで良かったのですが、そこにもう一つ、元々その場所に住んでおられる地元の方々の努力している姿などの紹介があれば、もっと良い番組になったのではないかと思いました。

 番組の中で、「岩手県人は、地元の良いところをあまり知らないのではないか。自然の素晴らしさなどを、当たり前だと思っているのではないか」というセルフがあり、私も「確かにそうかもしれない」と思いました。

 それから、よく市議会で出る意見で、最近「うまいもの紹介、などの番組が多く、それよりも地元で活躍している人物の紹介や、自然或いは未だあまり知られていない特産品を紹介する番組が増えれば良いのではないか」と言われておりますが、今回の番組では、世間では未だあまり知られていない「短角牛」を紹介するなど、そういった意見に応える様な内容で制作されたところが、良かったと思います。

 最後に、「学びの旅倶楽部」というタイトルですが、番組内容と少し懸け離れた部分もあり、別のタイトルでも良かったのでは、と感じました。

 以上です。

笠川委員

 私は、この番組は録画で拝見しました。

 通常、番組審議会で取り上げる番組に関しては1回だけ見て、一視聴者の立場としてどう思えるのかを考えながら見ているのですが、この番組に関しては2回見させて頂きました。

 1回目を見た時に、番組の冒頭で、斎藤純さんが「県外に住んでいた方が、どうしてここに移住してきたのか」という質問をされていて、その言葉がとても印象に残りました。

 それと、その場面のもっと前ですが、映像の上にテロップが出てきましたが、その文字が出ている時間が長すぎて、最近そのような番組がありがちなので、「またそういう番組なのか」と、少し嫌気を感じました。

あの部分はもう少し工夫があってもよかったかと思います。

 また、ご夫妻がそれぞれ素晴しい事を言っているのは分かりましたが、内容をいっぱい詰め込み過ぎで、1回目はあまり印象に残る部分がありませんでした。

 改めて2回目を見た感想としては、番組タイトルにも斎藤純さんという名前が出ていましたし、ナレーションの方が説明する際も、斎藤純さん、奥様の名前を話され、更に、斎藤さんが出てくる場面で、何回もテロップで名前が紹介され、まるで斎藤さんの宣伝かのようで、ちょっとうるさく感じました。

 それから、紹介された方々のお話は、よく聞いて書き留めてゆくと、とても素晴しい事を話しているのですが、尻切れトンボのような内容の作り方だったので、そこを工夫して制作していれば、もっとすばらしい番組になっていたと思います。

 以上です。

松本委員

 IATさんの映像には何時も惚れ惚れして、1ショット1ショットの映像の美しさが光り、記録として残したい番組だったと思いました。

 また、取材された対象が、グリーンツーリズムの方々で、その方々をじっくり取り上げたこのような番組は、今まで無かったので、とても良かったと思いました。

 しかし、内容的にはちょっと詰め込み過ぎで、一つ一つが埋没してしまい、少しもったいない感じがしました。

もう少し、その方々の「これまで歩んできた人生について、或いは現在の生活に対する思い」などを詳しく聞き、紹介すればもっと良かったと思います。

 それから、1泊2日の小旅行という設定でしたが、果たして1泊2日の限られた時間で、本当にあれだけの場所を周り、また、色々な物を食べることが出来るのだろうか、少し疑問に残りました。

 また、斎藤純さんご夫妻が出演するということで、期待して見ておりましたが、番組を拝見して、あえて斉藤純さんご夫妻でなければいけなかったのか、また、スーパーカブというバイクで回ることにより番組の魅力がアップされたのか、そこにどんな意味付けがあるのか、よく分からなかったです。

 最後に、斎藤さんご夫妻は言葉数が少ない為、岩手山神社でお水を飲まれた瞬間や、短角牛を召し上がった瞬間の感想で「あー、んー」だけで、私たち映像を見ている側にしてみれば、具体的にどういう感想を持ったのか、もう少しストレートに聞けなかったのが残念でした。演出部分についても工夫が必要だと思います。

 以上です。

宮野委員

 「これって何が主なのか」と番組を見て思った一番の感想です。

 学びの旅倶楽部という事業宣伝の番組なのか、それとも斎藤純さんを紹介する番組なのか、そう考えながら拝見しましたが、最終的には、どこかで見たような、有名人が奥さんと旅をして行く番組で、全体的に何を言いたかったのか、あまり分からない番組でした。

 それから私も、松本委員と同様に、なぜスーパーカブで行かなくてはならないのか、また、あの乗り物で山道を走ったら、お尻が痛くならないかな、と余計な心配をしながら見ていました。

 斎藤純さんに関しては、盛岡での様々な活動により、盛岡市民は知っている方が多いかもしれませんが、全県的には未だそれほど有名な方ではないので、私は、テロップやコメントで何回も斎藤さんを紹介した作り方は、良かったと思いました。

 また、これから先、産業の少ない岩手県にとっては、「都会から移り住む方々へ生活場所を提供する」という、地域おこし的な活動を紹介した、良い番組だったかと思いました。

 以上です。

村田委員

 見ていて全体的にはそつが無く作られてはいるものの、「学びの旅」というよりも、都会から来た人達が、田舎暮らしの良さをアピールする番組のような感じがしました。

 気になった点は、制作スタッフが、作家である斎藤純さんに少し気を使い過ぎで、わざわざ作家を起用した意図が上手く表現されていなかったところや、私も、テロップの出しすぎや、その文字が長すぎだとところです。あれでは、年配の方々は読むのに一苦労です。

 また、斎藤純さんが、番組の冒頭で「自分の生活のリズムで旅をする」と言っておりましたが、1泊2日の旅で、あんなにたくさんな場所を回るのは実際無理ではないか、と感じました。

紹介の仕方も、色々なところをパラパラとただ見せるのではなく、それよりも行く場所を限定して、もっと内容の濃い番組にしたほうが良かったかと思いました。

 全体的には、この番組は単なるご夫婦の旅紹介にしか過ぎず、一作家夫婦の旅番組という企画で制作されているのであれば成功かもしれませんが、「学びの旅」というタイトルにするには、ちょっと違うんじゃないかな、と感じました。

「学びの旅」という趣旨であれば、もう少しタイトルに合った内容を盛り込んだ方が良かったと思います。

 見終わって一番感じたことは、番組の中で「岩手の人たちは自然の良さを分かっていない」と言っておりましたが、私は違うと思うのです。自然があたりまえにそこにあるから、分からなかったり、感じていないだけなんです。岩手は何も無い、有りのままの自然が財産であり、それが観光的な魅力でもあり、これからも、都会から移住して来る人達が増えていくと思いますが、逆から考えれば、その自然が移住者により荒らされてしまう。ということもよくあるケースです。

私は、こうした動きが今後、岩手の自然環境の破壊に繋がることを心配しております。決して都会からの移住者が増えることを「良し」と思っている人達ばかりではありません。

 気をつけていただきたいことは、こうした考え方の人達もいる、又こうした問題も有る、ということを分かった上で制作しないと、「ちょっと危険な番組」になりかねないとも思いました。

 以上です。

増子委員長

 先ず、最初に思ったことは、この番組は、斎藤純さんの意向が強く入った番組で、一つ間違えると物凄くクサイ作りになってしまう感じがしました。

 幸い、際どいところで止まっていましたが、地元の人間との接点も無く、しゃれた作りにした分だけ、土の匂いもしないし、何となく「根無し草」みたいな作品に見えました。

 出演している方々も斎藤さんのお知り合いで、たまたま県外の人ばかりが出ていましたが、確かに一人ひとりが、面白く、すばらしい人生を歩んできた方々というのは分かりましたが、その方々の紹介に、さらに斎藤さんの紹介も加わり、お互いを消しあって、歯切れの悪い作りになっておりました。

 また、先程から皆さんが言われているように、内容を詰め込み過ぎで、あまり印象に残らない番組でした。

 また、地元の人間から見れば、そこでの生活感があまり感じられず、リッチな都会人が田舎に来て、家を建たり、お店を出したりと、移住されて来た方は、半ば趣味のような感じで生活しているようにも見え、地元で生きている人間にとっては、「趣味的な生活」に対して、ちょっと不快な思いをしました。

 村田委員が言っておりましたが、自然環境のこととか、地元岩手の人の中には移住者を決して快く思っている人ばかりではない、という気持ちも分かります。

 全体的には、それなりに纏まっていたと思いましたが、もう一つパンチに欠けた作り方だったと思いました。

 それから、細かいことを言いますけど、斎藤純さんが神社にお参りした際、賽銭をあげませんでしたが、ちょっと不自然な感じがしましたので、あのようなシーンは取り直すべきではないでしょうか。

 また、冬は本当に、あの場所で生活しているのか疑問を持ちました。「ひょっとして冬はいなかったりするんじゃないですか?」地元の人間が意地悪く見れば、そこでの生活は、「そんなに甘いものではないはず」と見ちゃうんですよね。

 それから、奥さんの役割もよく分かりませんでした。

 また、難しい部分ですが、作家を出演させるのなら、作家の独特な目線で人物を紹介するとか、その人の薀蓄を生かす部分をもっと入れるとか、「その作家でなければならないんだ」というところを意識して制作しないと、面白い番組はできないと思います。

奥原プロデューサー

 今回先生方からいただいたご意見の中で、取材範囲が広すぎたことは確かです。それが原因で一つ一つが薄くなり、印象に残らない番組となってしまったんだと実感しました。

 また、テロップも、人の口から出た言葉をわざわざ文字にして映したり、画面上に多く出し過ぎすぎたところ、また、出演者の演出方法や構成の問題など、頂戴した貴重なご意見を参考に、これからの番組作りに役立たせたいと思います。

 本当に、ありがとうございました。

増子委員長

 それでは、次回の開催についてお願いします。

佐藤事務局長  次回は7月27日(木)です。

 合評番組は

「純情応援歌~生徒がつくった学校紹介」および

「第88回 全国高等学校野球選手権岩手大会」です。

 宜しくお願いいたします。

増子委員長 それでは終了します。ありがとうございました。

7.審議機関の答申または改善意見に対してとった措置

特になし

8.審議機関の答申または意見の概要の公表

7/5付 朝日新聞岩手県版に審議概要を掲載。

系列各局に議事録を送付。

本社受付に議事録を常備、閲覧に供す。

インターネットホームページに掲載。

9.その他の参考事項

特になし

10.配布資料

◎ 7月単発番組編成予定表

◎ 6月岩手地区視聴率

◎ 5月視聴者応答記録