5月(第78回)
概要
岩手朝日テレビの第78回番組審議会が平成16年5月27日(木)、盛岡市盛岡駅西通の岩手朝日テレビ会議室で開かれた。
合評番組は「IAT学びの旅倶楽部スペシャル」。
- 自然とともに暮らす知恵、岩手に残る日本のふるさとなどが上手に網羅されていて良かった。
- 安代町在住の婦人の言葉、「ここに居たらここを楽しむしかない」が心に残った。この番組を通して、県民に自然や田舎を見直してもらえればいい。
- 映像がきれいで、カメラワークもよかった。アナウンサーも喋りすぎず、素直に驚いたり、楽しんだりという感情が伝わってきた。
- 取り上げたテーマが食文化中心だった。もっと別の切り口で掘り下げてもよかった。
- 酒蔵での見学で、コートを着たまま食品を触る映像があった。相手にも失礼だし、衛生面も気になる。撮影の際、配慮してほしい。
- 今回の番組を機会に、雪国の厳しさや風土の映像を撮っていき、1年に1本くらい番組を制作できるような姿勢とスタッフを育てていけばいい。
という意見が出た。
出席委員は、増子 義孝委員長、笠川 さゆり委員、大坊 忠委員、松本 直子委員、宮野 裕子委員、村田 久委員、高橋 真裕委員の7名。欠席委員は、小田島 利昭委員、石井 三郎委員、松尾 正弘委員の3名。
議事録
1.開催日時 平成 16年 5月 27日(木)午前11時~
2.開催場所 岩手朝日テレビ本社 3階会議室
3.委員の出席
委員総数 10名
出席委員数 7名
委員長 増子 義孝
委員 笠川 さゆり
委員 大坊 忠
委員 高橋 真裕
委員 松本 直子
委員 宮野 裕子
委員 村田 久
欠席委員数 3名
委員 石井 三郎
委員 小田島 利昭
委員 松尾 正弘
会社側出席者名
代表取締役社長 川崎 道生
代表取締役専務 村上 昇
常務取締役総務局長 伊東 正義
営業局長 辻 一成
報道制作局次長 浅田 英利
技術局長 佐々木 正樹
営業局業務推進部 阿部 卓司
番組審議会事務局長 小倉 潔
4.議題
(1)6月の改編・単発番組について
(2)番組合評
「IAT学びの旅倶楽部スペシャル」
平成16年5月18日(火)放送分について
(3)次回の審議会
開催日:平成16年6月24日(木)
合評課題:「純情応援歌~生徒がつくった学校紹介」について
平成16年6月14日(月)~7月14日(水)放送
5.概要
◎ 自然とともに暮らす知恵、岩手に残る日本のふるさとなどが上手に網羅されていて良かった。
◎ 安代町在住の婦人の言葉、「ここに居たらここを楽しむしかない」が心に残った。この番組を通して、県民に自然や田舎を見直してもらえればいい。
◎ 映像がきれいで、カメラワークもよかった。アナウンサーも喋りすぎず、素直に驚いたり、楽しんだりという感情が伝わってきた。
◎ 取り上げたテーマが食文化中心だった。もっと別の切り口で掘り下げてもよかった。◎ 酒蔵での見学で、コートを着たまま食品を触る映像があった。相手にも失礼だし、衛生面も気になる。撮影の際、配慮してほしい。
◎ 今回の番組を機会に、雪国の厳しさや風土の映像を撮っていき、1年に1本くらい番組を制作できるような姿勢とスタッフを育てていけばいい。
6.議事の内容
小倉事務局長
第78回放送番組審議会を始めます。
本日の合評番組「学びの旅スペシャル」の制作を担当しました阿部も出席しておりますのでよろしくお願いいたします。
増子委員長
それでは川崎さん、一言お願いします。
川崎社長
まず嬉しいご報告を申し上げます。
先々週、東北の系列6局で構成しておりますホットネット東北で、弊社が昨年に引き続き最優秀賞を頂戴しました。受賞番組は「もう一度、風に~車イスのレーサー・横澤高徳~」です。東北6局でも一番若い局が2年連続で受賞できましたことは、弊社の前向きな姿勢が評価されたのかなという気がしております。
これからも委員の皆様の期待に沿えるよう邁進して参りますので、引き続きよろしくお願いいたします。
増子委員長
6月の番組についてお願いします。
辻営業局長
それでは説明します。6月はスポーツ単発を多く編成します。
種目別に紹介しますと、サッカーは6月1日「五輪代表親善試合 日本×マリ」、6月9日「ワールドカップアジア地区第1次予選 日本×インド」を放送します。
ゴルフは6月6日「リゾートトラストレディス」、6月18日から「全米オープン」、6月27日「プロミスレディース」がございます。
プロ野球は6月6日「スーパーベースボール」C×G戦、26日S×G戦、30日T×G戦がございます。
その他の単発としては6月25、26日の二夜連続で「キャノンスペシャル:野球その素晴らしき世界」を編成します。
ローカルでは高校野球県大会が7月15日から25日までの11日間、県内6球場で開かれます。今年は87校86チームが参加します。それに伴い6月14日から7月14日まで「純情応援歌~生徒がつくった学校紹介」を編成します。高校生が自分たちでつくったビデオで、学校紹介や野球部の紹介をするという番組です。これは次回の審議会の合評番組です。
また6月24日から7月9日まで「おはよう!!高校野球です」を5:35~5:50の枠で編成します。これは今年初の試みです。各高校の戦力分析や見どころを紹介していく番組です。
ネット番組としては7月20日から30日まで「熱闘甲子園」が編成されます。各県の優勝校を紹介する、本大会に向けたメイキング番組です。甲子園大会は8月7日から21日の予定です。
増子委員長
それでは「IAT学びの旅倶楽部スペシャル ふるさとを遊ぶ」の合評に入ります。
大坊委員
山の散策は私の趣味の一つなので、興味深く拝見しました。ネイチャーライターである村田さんが出演している場面は非常に良かった。じっくりと流れを映してくれたので、画面に気持ちが吸い取られるような気分で見ておりました。矢田アナがヨモギを知らないのには驚きました。
「学びの旅倶楽部」の活動内容を紹介する映像は掘り下げ不足でしたね。料理の紹介も作り方や食べ方をもっと紹介しても良かった。盛り込み過ぎな点が気になりました。
また、安代町の佐藤ひとみさんの「ここに居たらここを楽しむしかない」という言葉が心に残りました。矢田アナの「初めてでも懐かしい気がする」という言葉もいいですね。自然や昔ながらの生活に自分が浸ったからこそ出た言葉なのでしょう。安家の嘉村さんの「安家では安家のものを出さないと」の言葉にもホッとした気分になりました。
この番組を通してもっと自然や田舎を見直して貰えたらという感じを受けました。
非常に良い番組だったと思います。
笠川委員
番組冒頭の四季折々の映像がとても素敵でした。自然を知っていると、これほど自然を楽しめるのかと、番組に出演した村田さんを羨ましく思いました。
「ふるさとを遊ぶ」というコンセプトで、自然と共に暮らす知恵、豊かな時間、岩手に残る日本のふるさと、これに尽きるということで番組が進行しますが、上手に網羅されていて良かった。
確か8市町村が紹介されたかと思いますが、どの市町村も長所が凝縮されていて、その良さが伝わってきました。
残念な点としては、二戸の酒蔵で、米を冷ます作業を見学者が体験する場面がありましたが、見学者がコートを着たままで食品を触る映像は、その酒蔵にも失礼ですし、衛生面など他の面からも気になりました。白衣とまでは言いませんが、エプロンなどを着て頂けたら、もう少し見やすかったと思います。
岩手は広いだけに、様々な良い所があるんだなと思わせられる番組でした。
高橋委員
やはり私も番組冒頭の岩手の四季折々の映像が番組を印象付ける上で非常に大きな効果を上げたと思います。冒頭映像は素晴らしい構成でした。
安代の佐藤さんの言葉は、私も非常に印象に残りました。ただ、「ここに居たらここを楽しむ」ということで出た映像が、食べ物に集約されていました。楽しむには食べる以外に様々なバリエーションがありますので、食文化以外にも広げて紹介したら、もっと奥行きのある映像になったでしょう。
安比高原のブナ林散策は、私も2度ほど体験しまして素晴らしい所だという印象が残っております。今回は新緑前の時期でしたので、折角なので素晴らしい新緑を皆さんに見て欲しかったなという一抹の残念さが感じられました。
番組では食べる映像が4回ほどあり、多すぎたかなと思います。食文化イコール地域文化とすると、番組が構成しやすいのかも知れませんが、もっと別の切り口もあったのではないでしょうか。
番組全体を見ますと、ブナのネアケや種の話、「古然食の会」のマメブといった、今までにない新しい知識も吸収できたので、私自身参考になる番組でありました。
松本委員
映像が綺麗で、カメラワークも良かった。安代の佐藤さん宅でヨモギ餅を作る場面は、まるで自分がそこにいるかのような臨場感を感じながら見ることが出来ました。番組前半の矢田アナ、後半の樋口アナ、どちらもあまり喋り過ぎず良かった。アナが喋り過ぎますと、村田さんの言葉が生きてこないし、ホステス役の皆さんの言葉も聞きたいので大変良かった。
一方で、表情がとても自然で、素直に驚いたり楽しんだりという感情が伝わってきました。その表情がますます臨場感を盛り上げていました。
山田アナのナレーションの中にも「学びの旅倶楽部」というフレーズがポンポン入ってきたので、学びの旅ツアーの映像と今回の村田さんの映像が違和感なく見ることができました。内容が盛り沢山な割に混乱せずに見られたのはそのおかげです。
残念だったのは、番組最後のナレーションで「岩手の自然を守っていきたい…」とおっしゃったのですが、ありきたりすぎて、折角の番組内容が軽くなってしまった気がしました。もう少し余韻の残るコメントが欲しかったですね。折角ライターの村田先生も登場したのですから、もっと心に響くような言葉で締めることもできたのではと勿体なかった。
この番組の目的の一つとして、学びの旅倶楽部自体をPRすることもあると思って番組を見ましたが、その割には、今後のスケジュールや企画について触れる所が無かった。楽しそうだな、次回は参加してみたいと思う人もいて、PRする良い機会だっただけに惜しい。
宮野委員
私は内容が盛り沢山で混乱しました。19時台は、主婦は忙しい時間帯ですので、バックミュージックのように番組を見る時間帯だと思います。ですので、場面がコロコロと変わって、さっきは安代町をやっていたのに東和町をやっている…という感じで番組の流れを掴みきれませんでした。後からビデオでもう一度視聴しまして、3つの「旅サラダ」的番組の合間を村田さんが埋めている番組だなと思い、内容的にもいいのではないかと感じました。
皆さん総論をおっしゃったので、私は各論を申し上げます。
まずヨモギ餅の作り方。大福型ではない、三角形のヨモギ餅は今では非常に珍しいですし、とても懐かしかった。
それに対して、酒蔵で髪も留めずにコートを羽織ったままで米に触る場面は、とてもやるせない場面でした。あれを許した酒蔵も腹立たしかったし、非常に不愉快でした。
田舎の食文化イコール生活、生きることだと思いますので食べることの紹介は良いが、そこに至るまでの事柄、例えば山菜の灰汁の抜き方なども紹介してくれたらもっと興味を持てたと思います。
増子委員長
それでは番組に出演された村田さん、どうぞ。
村田委員
今回は番組審議会の委員でもありますが、制作にも少し参加しまして勉強になったし、様々な面で良かったと思います。
他局の知り合いからもこの番組について電話がありました。各局のディレクター達は、60分番組をIATがよくやるなと思ったようです。その60分が短く感じる作りだったということで、概ね好評、やられたなという意見でした。自然散策や山菜を取り上げたニュースや番組が最近増えていますから、そういった意味でもやや抜きん出たかも知れません。
松本さんが「アナウンサーが喋り過ぎずに良かった」とおっしゃいましたが、実は喋れなくて困ったんです。イワナを見るのも初めて、ヨモギも初めて、何もかも初めてで、それは新鮮に映って良いかも知れませんが。最初僕は遠慮しながら喋ったのですが、間が持てなくて仕方なく僕が喋ったのです。やはりアナウンサーは番組制作の前段階として、大雑把で良いから取材しておかなくては、臨場感が出ないでしょう。それは今後の課題です。
また今回は、番組制作スタッフの熱意を非常に感じました。今回は学びの旅倶楽部のPR版なのでこのような作りですが、良い映像を撮るために夕方遅くまで収録しましたので、テーマごとに30分番組が作れると思います。
雪国の厳しさや風土の映像を少しずつ撮って積み重ねて行き、それを1年に1本くらい制作できるような姿勢とスタッフを育てていけたら、岩手県民に愛されるテレビ局になっていけると思います。最初は手探りでも構わないので、こういった番組をこれからも続けていって欲しい。
増子委員長
私もこういった番組が大好きで、今回も最後まで楽しみながら見ました。贅沢を言えば、オムニバス形式で個々をスッと流しすぎたとか、技術的な問題はいくらでも挙げられますが、こういう番組を作ったこと自体を高く評価します。その中で感じたのは、もっと掘り下げて欲しかったということ。例えばマタギをテーマにした番組もできるし、山菜をテーマにしても番組ができる。山菜はキノコほどではないにしても在処を誰にも教えないというから難しいかも知れませんが、そこを一捻りして番組を作って欲しい。あんな川で僕も釣りたいという高揚感があるし、若い人は知らないでしょう。
村田さんは案内役として自然なコメントがスッと出るし、キャリアが滲み出て良かった。
どこの局も競ってこういったネイチャー番組をやりますから、その一歩先を行こうという気持ちを常に持ち続けていないと、すぐに他局と同じものになってしまう。とにかく良い内容でした。
大坊委員
釣ったヤマメを放しておりましたが、何か哲学がおありなんですか。
村田委員
はい。カワシンジュガイの説明が番組内で足りませんでしたね。
カワシンジュガイはヤマメがいないと育たないんです。カワシンジュガイはこれから夏にかけて1~2ミリのこどもの貝を産卵します。それがカジカ・ハヤ・ヤマメ・イワナといった魚のエラに寄生して養分を取るのですが、最後まで付いて育つのはヤマメだけなんです。子どもたちのインタビューでも「ヤマメが減ったためにカワシンジュガイも減った」というくだりがあったはずなのですが。ですから僕が魚を釣って食べるという気になれないのはそこなんです。
笠川委員
そういうことであれば、ヤマメを取る映像の時にそういった注意を喚起しても良かったですね。あの映像を見ると、あそこに行けば釣れると思って人が来てしまいますから。
村田委員
そうですね。釣り紀行番組ではありませんから、釣りのシーンは要らなかったかも知れません。テロップでもいいから入れるべきだった。反省すべきかな。
増子委員
制作を担当した阿部さんからも一言お願いします。
阿部ディレクター
非常に参考になるご意見を頂戴しました。
特に感じましたのは、食を中心にそれぞれの地域を紹介しておりましたが、その背景、生活全体までを含めた文化を紹介して奥行きを出していけるんじゃないかというご指摘は、やはりこちらの力不足だったし、そういった視点が今後必要になると思います。
こういった番組はそれほど多くないので、どこまで踏み込んで行けるかが大事です。今後も、県内のみならず全国に番組を放送して、岩手の自然の豊かさ、そこで生活する人の知恵や工夫、歴史をしっかり紹介できるものにして行けるのではないか。
今回の番組では、村田先生に大変ご協力頂き、関係者や学校の皆さんにもご協力頂けたことと、天候に恵まれて美しい自然が撮れたのは幸運でした。
高橋委員
冒頭の小岩井の一本桜の映像は今年のものですか。
阿部ディレクター
いつのものかは判りません。と言いますのは、弊社が保存している映像ではないからです。非常に美しい映像は弊社でも撮っていかなくてはなりませんが、とても手間がかかります。これほどに美しい自然があるということを知らせるために、お借りした映像です。
増子委員長
ありがとうございました。他にご質問はありますか。
それでは次回の開催についてお願いします。
小倉事務局長
次回は6月24日(木)です。
合評番組は「純情応援歌~生徒がつくった学校紹介」です。
増子委員長
それでは終了します。ありがとうございました。
7.審議機関の答申または改善意見に対してとった措置
特になし
8.審議機関の答申または意見の概要の公表
5/27放送「IATスーパーJチャンネル」で審議内容を報道。
5/30付 朝日新聞岩手県版に審議概要を掲載。
系列各局に議事録を送付。
本社受付に議事録を常備、閲覧に供す。
インターネットホームページに掲載。
9.その他の参考事項
特になし
10.配布資料
◎ 6月度単発番組編成予定表
◎ 4~6月タイムテーブル
◎ 5月岩手地区視聴率