5月(第38回)
概要
本社側から、6月の単発編成について説明の後、「最近のテレビ番組全般について」、西鉄バスジャック事件のリアルタイム報道の在り方について、民放としての対応、殊に”今、大事な時、今重要な事……について、日頃から、どんな工夫がとられているのか、充分に考えて置く必要がある”などの意見が出された。
出席委員は、増子 義孝 委員長、植本 花子 委員、及川 和男 委員、斎藤 五郎 委員、荻野 洋 委員、松本 直子 委員、宮野 裕子 委員の7名。
欠席委員は、照井 章夫 副委員長、松尾 正弘 委員、山川 清 委員の3名。
議事録
1. 平成12年 5月23日(木)午前11時~
2. 岩手朝日テレビ会議室
3. 委員の出席 委員総数 10名
出席委員数 7名
欠席委員数 3名
出席委員の氏名
増子 義孝 委員長 植本 花子 委員 及川 和男 委員
斎藤 五郎 委員 荻野 洋 委員 松本 直子 委員
宮野 裕子 委員
欠席委員の氏名
照井 章夫 副委員長 松尾 正弘 委員 山川 清 委員
岩手朝日テレビ側出席者
蓮見社長 桑折 専務 河邊 業務局長
佐々木営業局長 横舘 報道制作局長 菊地 技術局長
升谷 事務局長
4.議事
(1)6月の番組編成について
(2)番組合評「最近のテレビ番組全般」について
(3)次回の開催日時および議題について
5. 議事の概要
本社側から、6月の単発編成について説明の後、「最近のテレビ番組全般について」、西鉄バスジャック事件のリアルタイム報道の在り方について、民放としての対応、殊に”今、大事な時、今重要な事……について、日頃から、どんな工夫がとられているのか、充分に考えて置く必要がある”などの意見が出された。
6. 議事の内容
升谷事務局長
定刻となりましたので、第38回番組審議会を開催いたします。
本日は3名の委員の方が欠席でございます。議事に入ります前に社長から一言お願いします。
蓮見社長
おはようございます。本日は最近のテレビ番組全般についてご意見をお聞きする予定ですが、委員の先生方はお忙しいので、テレビ番組を見る機会がなかなか少ないかと思います。岩手朝日テレビ以外の他局の番組についても、わが社の番組と比較して頂くのも一つの方法だと思いますので、お話しして頂けたらと思います。
来月にテレビ朝日系列の社長会がありまして、20名ほどで2週間ほど欧米のメディア視察をしてきます。主に、将来のデジタル化に対する視察でございますが、他国のテレビ番組等についてご報告することがあれば、この席でお話しさせて頂きたいと思います。本日も、よろしくお願い致します。
升谷事務局長
それでは、議事へ入らせて頂きます。委員長、お願いします。
増子委員長
それでは、6月の番組編成からお願いします。
河邊業務局長
それでは6月の番組編成についてご説明致します。レギュラー番組には変更はございませんので、単発番組についてご説明いたします。
6/2(金)25:09~26:04「希望の歌声~ゴスペル歌手レーナ・マリア~」。系列の大分朝日放送の制作です。大分で車椅子マラソン大会がありまして、その開会式で行われた、スウェーデンのゴスペル歌手、レーナ・マリアのコンサートの模様をお伝えします。両腕と足に大きな障害を抱える彼女が、ハンディキャップを乗り越えて歌う姿、明るく伸びやかな歌声が感動を呼ぶ。福祉先進国・スウェーデンでのレーナの日常生活やスウェーデンの福祉に対する取組みもあわせて紹介します。
6/3(土)10:15~10:45「列島新世紀 日本の道~環状道路の整備と都市の再生(前編)」。神奈川、東京、埼玉、千葉の都心部郊外を囲む環状道路が抱える問題点について取り上げる内容です。
6/4(日)14:00~15:25「リゾートトラストレディスゴルフ」。岐阜・スプリングフィールドGCで行われます。16:00~17:25「日曜ワイド 志村けんの絶対これがウマイ!海と山の幸と東北湯けむりの旅」。志村けんらが、東北の味三昧ということで、岩手県の三陸地方では、釜石の「中村屋」名物「三陸海宝漬」を味わった後、山田町では獲りたてのカキに舌鼓をうつ。
6/11(日)14:00~15:25「サンデープレゼント TUBE前田亘輝がゆく WEST COAST湾岸ドライブ 夏…伝説の予感」。大のゴルフファンである前田亘輝が、全米オープンゴルフが行われているアメリカ西海岸のペブルビーチを訪れ、横尾要プロとのゴルフ対決や、全米オープンゴルフのテーマソングを作曲する。15:30~17:25「日曜ワイド 川島なお美の妖艶を豊満の旅シリーズ 豪州・夢境とワインを求めて!」。ワインに強い川島なお美さんがオーストラリアでワインを満喫します。
6/14(水)19:00~19:54「岩手が命!!岩手人格付けチェック」。わが社が初めてゴールデンで自社制作番組を放送します。司会はT.I.Mのゴルゴ松本とレッド吉田の2人です。岩手県出身の有名人たちが、一流岩手人の名をかけて競い合う。二者択一のクイズ形式で、ワイン、さんさ踊り&太鼓、冷麺、前沢牛など岩手の人なら当然知っているもの、知っていて欲しいものを出題。当たれば一流岩手人、外れれば二流岩手人、三流岩手人、最後には声だけの出演、という恐怖の岩手人ランク付けをします。一流岩手人に輝くのは果たして誰かという内容です。どちらが正しいかというウンチクや、正解・不正解の部屋を用意して司会者は正解の部屋へ入っていくのですが、待っている間の有名人たちの表情を楽しむ、といったゲーム性を持ったバラエティです。
6/16(金)5:00~7:00「全米オープンゴルフ第1日目」。17(土)同時間に同じく「第2日目」、16:30~17:25「予選ハイライト」。18(日)6:00~9:00「第3日目」、15:30~16:55「第3日目ハイライト」。19(月)6:00~9:00「最終日」、23:14~24:39「最終日ハイライト」。カリフォルニア州ペブルビーチGLからの中継とハイライトをお送りします。
6/17(土)22:59~24:30「ル・マン24時間レースPART1」、24:45~29:00同「PART2」。18(日)14:00~15:25同「PAET3」、22:55~24:28同「PART4」を、フランス・サルテサーキットからお送りします。今回はテレビ朝日レーシングプロジェクトが“パヌス1・2号車”の出走を試みています。これも今回の話題のひとつです。
6/18(日)18:30~20:54「ゴールデンナイター 阪神×巨人」をお送り致します。
6/19(月)~7/14(金)まで、月~金の18:45~19:00の15分間、IATスーパーJチャンネル内で「純情応援歌」をお送りします。高校野球企画の第3弾。7/15から始まる夏の高校野球岩手大会に出場する高校から届いた手作りビデオを紹介するユニークな企画です。各野球部の選手たちの素顔や練習風景、大会への意気込みなどを伝えます。
6/24(土)10:15~10:45「列島新世紀 日本の道~環状道路の整備と都市の再生(後編)」を編成します。14:00~14:55「新世紀ヴィーナス見聞録 神秘の国モロッコの旅~魅惑の迷宮へようこそ~」。モロッコを紹介する紀行ものです。
6/25(日)14:00~15:25「サンデープレゼント 水野真紀・紺野美沙子のイタリア・パスタ探偵団~イタリアに学べ、パスタ修行珍道中」。これはタイトル通りの内容でございます。15:30~17:25「日曜ワイド 歴史街道スペシャル 極めつき!味道中」。出演は美木良介、石野真子ほかで、伊勢、奈良、京都、大阪、神戸の名物料理の数々が登場します。
6/26(月)20:00~22:24「ネイチャリングスペシャル 聖インダス大巡礼~世界初!幻の源流を求めて2900キロ全走破~」。聖なる大河インダスの源流を目指す旅。“獅子の口”と伝説にいわれる源流を求めて、アラビア海の大河口からチベット西部の聖山カイラスの彼方まで2900キロを遡る。標高差5600メートル、温度差60度の過酷な旅を続けながら、インダス流域の大自然のすばらしさや人々の暮らしを紹介致します。
6/27(火)25:39~26:32「エキサイトボクシング」。偶数月に月1回放送しておりますが、今回は後楽園ホールからお送りします。
6/29(木)19:54~20:48「パワーアップナイター ヤクルト×広島」を神宮球場から中継します。
6/30(金)19:00~20:48「ゴールデンナイター 広島×巨人」を広島市民球場から中継致します。以上で説明を終わらせて頂きます。
蓮見社長
今、説明させて頂きましたが、6/14の19時から54分で放送します番組については、ゴールデンタイム初の自社作品であります。以前、斎藤委員からも言われております自社制作番組のひとつでありますので、是非、委員の先生方にも見て頂いて講評して頂きたいと思いますので、よろしくお願い致します。
それから、6/16から始まります全米オープンゴルフは、テレビ朝日が地上波で独占中継します。去年も大変、好評でした。以上です。
増子委員長
ありがとうございました。では、次に進みたいと思います。
番組の合評、最近のテレビ番組全般について、これは6月1日の系列24社番組審議会委員代表者会議に皆さんの意見を集約して持って行きますので、よろしくお願いします。
松本委員
先日、ニュースステーションで、米内の夜桜の中継がありました。雨降りのあいにくの天候でしたが、雨は雨なりに美しくて幻想的な様子でした。石割桜は全国区ですが、米内のような桜もあることを全国の皆さんも感心して見たと思います。同じ地区に住むことに胸を張りたくなるような綺麗な映像でした。
ここ1ヶ月、どの番組を見ても一番多く出てきた言葉は『17歳』というキーワードだったと思います。あまりにも、どこの局のどの番組でも『17歳の凶行』とか『17歳の犯行』だとかいう取り上げ方をしていて、むしろ、気持ちを煽り過ぎてはいないか、報道の仕方が過剰ではないかと思いました。
同じく心配なことは、『警察のモラルの低下』や『学校の教師の質の低下』が様々な事件で取り上げられる時、過剰報道になりすぎていることです。警察の停止命令を無視して暴走行為を繰り返す未成年に対して、警察官が銃口を向けて停止を命令したという事件を、警察官の行為は行き過ぎではないかと報道したニュース番組がありました。滅茶苦茶に壊れた車を映像で見ると、未成年の暴走行為に対する警察官の停止命令の行為が、そこまで悪く言われるほど酷いものかと疑問に思いました。警察のモラルの低下は問題ですが、全てがそこに繋がるような報道の仕方はどうかと思いました。特に子どもの口から、『警察は悪い人がなる仕事なの』とか、『先生ってたいしたことないね』という言葉が出るに至っては、放送の中での話し方、表現の仕方、報道の仕方というものは随分大きな影響を与えるものだと、背筋が寒くなる思いをしました。
それから、正規のニュース番組ではなく、ワイドショーのニュースを見て、自分はニュースを見た・ニュースを得たと捉えている人、特に主婦の方が増えていると思います。ですから、ワイドショーのニュースコーナーのレベルアップだとか、中立の姿勢が益々望まれると思います。正規のニュースと違って、ワイドショーのニュースはニュースの最後にコメンテーターやリポーターが一言、結論じみたことや批評じみたことを付け加えますので、それが全ての結論というか見ている人の判断に結び付いてしまわないかと思って気になることもあります。
報道番組では暗いニュースばかりが多かったような1ヶ月でしたが、岩手県に限ると栃の花関の話題は明るい良いものだと思います。各局争って取材をして、ニュース枠だけではなく時間を拡大してよくまとめていると思います。残念なことは、ニュースの時間帯がどの局も重なってしまうので、全部の局で見られないことです。良い話題は繰り返し見たいので、話題性のあるニュースの時だけでも、より多くの人が見られる工夫はないものかと思います。栃の花関とは同郷なだけに、強くそう思いました。以上です。
宮野委員
私はサンデープロジェクトが好きでよく見ます。日曜の朝の時間帯は他局も報道番組をやっていますが、他局の報道番組が終わってからの朝10時から始まります。他の報道番組とは違った視点、問題提起の仕方が気に入って毎週見ています。政治問題がよく取り上げられますし、政治家もゲストでいらっしゃって、その政治家の人となりを見るには面白い番組だと思います。
それから、大相撲ダイジェストもよく見る番組です。岩手県の相撲人口は結構多くて、しかも私共、建設業業界は避けて通れない話題ですので、全部見ております。日中の取組みは見れませんので、この番組は重宝しております。先程の松本委員のお話しにもありましたが、暗い話題の多い中、栃の花関の活躍はとても有難いです。栃の花関の出身地の山形村は県北で決して大きな村でもないし、人口も少ないですが、案外と土地の雄、昔風に言えば旦那さんが多くて、後援会も掘り興していくと結構、強いものがあると思いますので、是非、特番を組んで欲しいです。
IATに関して言いますと、金曜日の夜はIATだけを見ております。11時台のドラマが始まりましたが、「夜叉」は漫画も好きで見たいのですが、私にはちょっと時間が遅すぎて、出来ることならもっと良い時間帯に再放送して欲しいと内心思っています。
今回は、好きな番組だけについて話しましたが、全般的にテレビを見る時間が少ないのですが、土曜の午前中というのはどの局も案外と手薄だなと感じましたので、何か良い番組が入ればと思いました。以上です。
斉藤委員
私はテレビは見ているほうだと思っていますが、皆さんのお話しを聞いていると、案外と見ていないと感じます。朝は忙しいので専らラジオですし、通勤中もカーラジオです。ニュースステーションは面白いと再認識して見ております。先程、米内の枝垂桜のことが話題になりましたが、これは周りの反響が多いことに驚きました。反面、NHKの10時からのニュースは話題になりませんので、やはり、久米さんの勝ちだなと思いました。
最近のドラマは面白く無くなってきました。舞台劇じゃないかと思うほどゆっくりとした構成のドラマが多くて満足感がありません。また、藤田まことや中村玉緒、市原悦子、小林桂樹などのドラマも結構見ておりますが、最近は低調だと思います。それから、時代劇がやたらと減ってきていますね。時代劇は経費の割に視聴率を稼げないのかなと感じます。反面、日曜洋画劇場では割と良い作品を放映してくれるので、私はとても注目しています。
それから、「題名のない音楽会21」ですが、羽田健太郎さんに替ったのに、ちっとも代わり映えがしませんね。もっと思いっきりやってもいいのに、ご遠慮なさっているのかと思います。
それから、6/14の「岩手が命!!岩手人格付けチェック」はキー局の「人気者でいこう!」のコーナーと同じですよね。タレントが一流から二流、三流に落ちていくのは、見ている側もくすぐられますね。岩手ではどんな方が出るのですか。
横舘報道制作局長
今のところ、グレートサスケですとか、版画家のイドウさん、衣川村の村長さん、県観光課の課長さん、IATのアナウンサーだとかを予定しております。
斉藤委員
面白いですね。味見をするのが楽しみですね。それから、全米オープンとル・マンは、ファンは待ってましたという感じですね。特にル・マンは若年層と中年層の話題になりますから。以上です。
及川委員
ニュース番組について若干、述べたいと思います。
西鉄バスジャック事件の、特に発生時のニュース報道の在り方についてですが、18時頃から、チャンネルを切り替えながら各局の報道を見ていました。IATでは2~3分で豊川の事件に切り替わって、その後は他件やコマーシャルを放送して、18時16分に「奥谷PAに入って30分」と伝えてすぐコマーシャルを流してスタジオに戻ってしまう。NHKはずっと継続してバスジャック報道をしておりましたが、ヘリコプターによる映像だけで、地上にはカメラが届いていないという遅れが見受けられました。18時30分時点ではNHKのみがバスジャックを報道しておりました。NHKは公共放送ですから継続して報道するのは当然だと思いますが、これだけの大事件ですが、民放とすれば予定された報道とコマーシャルを流すという制約があるのは充分承知していますし、それがまた限界なのかも知れません。NHKにチャンネルを切り替えられてその事件に釘付けになる流れが想像されました。民放としても、他件を報道していても画面の隅に映像なり文字を流すなどしても良かったと思います。民放の限界として済まされるのかどうか、この辺りを検討する必要があると思います。テレビ朝日では、5月4日になって、事件の全経過を詳細にわたって報道していました。結局、取材は続行しているわけですが、リアルタイムという点ではNHKにかなわない、少しでもどうするのかを考えて欲しいと思います。
同様の問題としては、5/14の18時から、順天堂大学病院のドクター達が小渕前首相の病状経過についての記者会見を行った件。これは、現政権の正当性に繋がる問題であってビックニュースなのですが、NHKは18時から中継を開始しました。18時15分時点ではIATでは中継しておりません。そして18時35分からは野球中継をしています。これには考えがあるでしょうし、予定であるから当然のことだと思います。翌朝の「スーパーモーニング」ではよくまとめて報道していますが、やはりリアルタイムではNHKに完敗している。こういった問題をどう乗り越えるかを考える必要があると思います。特に、報道と情報の朝日という看板に照らして、何とか工夫出来ないかと思いました。
評価したい点としては、5/2のJチャンネル内で小宮アナウンサーが、有珠山の噴火で犠牲者が無いことの陰に、過去の噴火当時、地元の郵便局長さんが行った記録活動が今回の噴火に生かされていることを紹介していました。こういった埋もれていたニュースを掘り起こしたことを評価したいと思います。また、5/13には福永法源が逮捕されたわけですが、それ以前に彼にインタビューした映像を流していましたが、自らが語る言葉に詐欺師的な本質、人間性が照らし出されていました。こういった日常的な地道な取材活動の蓄積の大切さを感じました。以上です。
荻野委員
短い番組ですが、「世界の車窓から」。短時間ですが、列車における人生模様、その国その国で瞬間的に乗降客、荷物の受け渡しや駅の情景など、非常に良い番組だと思います。しみじみとしていて外国を旅行した気分になれます。これを何週かまとめて特集して欲しいと思います。特集のビデオも出ていますので買ったのですが、私が良いと思う部分、要するに人の表情だとかどこへ行くのかといったちょっとした解説がカットされて、何となく鉄道マニア向けのビデオに仕上がっています。ですからビデオですと面白くないので、もう少し違った趣の特集を組んで欲しいと思います。
それから、先程から出ております米内の桜ですが、東京でも相当のインパクトを持って訴えたと思います。岩手県はこれから何で生きていくのかというと、やはり観光だという気がします。そのためには、テレビで発信して、発信した情報をもとに岩手に来て貰って消費活動をしてもらうことだと思います。岩手朝日テレビには、土曜の朝に「いい旅・夢気分」「旅サラダ」「秘湯ロマン」がありますから、岩手県発信版を是非ともお願いしたいと思います。私自身、県の観光課に、岩手の情報を全国・東京などに流した回数の多いテレビ局を表彰してはどうかと話しております。
それから、朝のワイドショーですが、TBS系列以外はどこの局も同じ取り上げ方、同じ体質です。私も最近は飽きてきまして、何か違った取り上げ方をしたらと思います。非常に均一化した番組にどの局もなっていると思います。特徴が無いと思います。反面、マンネリだけれども面白いと思うのは「目撃!ドキュン」と「人気者でいこう!」です。やはり、長寿番組になるだけの素質があると思います。「目撃!ドキュン」は人間のドラマがよく出ていると思いました。「人気者でいこう!」は比較の面白さで、よく考えたなと思います。
それから「ほんパラ!関口堂書店」、これはなかなか面白い番組です。テレビで本の紹介をするという珍しい番組ですが、あえて最後に1冊を選ぶのですが、選ばなくてもいいと思いました。むしろ本の紹介を数多くしたほうがいいと思います。これはもっといい番組に育つと思います。各局のテレビ局のやり方を見ていますと、日本テレビやTBSではロゴを決めて営業的に戦うぞという姿勢が見られますが、テレビ朝日は戦い方が非常にオーソドックスですね。営業的にスポンサーを増やすとか、視聴率をアップさせるために、ロゴを決めてもいいと思います。戦う姿勢を見せたところで、実際にそれがどうこうではないという見方もありますが、少し加味してもいいと思います。
最後になりますが、「ニュースステーション」と「NHKニュース10」ですが、完全にニュースステーションの勝ちだと思います。NHKは21時台がそのまま延びただけで面白みがありません。やはりニュース番組は、ニュースステーションのような絞り込みがあって、いろいろな意見が出るのが流石だと思います。以上です。
増子委員長
ありがとうございました。今、皆さんから良い番組がたくさん挙がりました。こうして他局と比較して番組を見ますと、良い番組が多いという印象が強いです。例えば「ニュースステーション」にしてもNHKは迫力が無いし、「サンデープロジェクト」にしても俵さんがゲストの政治家に対してイエスかノーで答えを迫る。そんなキャスターはなかなかいないので、一旦見始めると最後まで見てしまう。そのほか「徹子の部屋」や「題名のない音楽会」、「万物創世紀」にしても良い番組がたくさんある。それなのに、漏れ伺うと業績があまり伸びていない。若い人が見る番組で視聴率に差が開くのだと思いますが、私たちのような年代の者がそういった番組を見ても違いが全く解らない。違いが解らない男からみて、どこに業績の悪さの原因があるのかという疑問が出てきます。私の雑駁な結論ですが一番強い印象はそんな事でした。他に皆さんございますか。
升谷事務局長
委員長、植本委員からレポートを預かっておりますので、読ませて頂きます。
「(1)ニュースステーションについて
NHKが同時間帯にきても、さして大きな影響がないと思われます。視聴率の数字はいかがでしょうか。企画・演出色のある番組と言われましたが、西鉄バスジャックなど大事件が起こる中、久米さんらしさで、どんどん報道されていく態、テンポの良さはリニューアル以前の印象も甦って惹きつけられます。
(2)わらいの時間について
他のチャンネルと替えながら見ました。初めの頃とは、内容に変化が感じられました。お茶の間設定のネタをやっていて、当初よりは面白いと思いました。が、朝日系列局が”お笑い”番組というのは、笑いの”毒”とどこまで付き合っていくのか、無理があるように思われます。」というものです。以上です。
増子委員長
ありがとうございました。他にございますか。
斎藤委員
及川委員がおっしゃったバスジャック事件についてですが、リアルタイムで事件が見られるということについては、ある種の疑問があります。ハラハラして見ている分には、まるで、映画「スピード」を見ているような感じだと皆で話しました。湾岸戦争もそうでしたが、命がけの戦争をお茶の間で見ているという“恐さ”があります。むしろ、バスジャック事件をリアルタイムで見ている視聴者の心理を問いたいと思います。それから、昨日のニュースステーションで有珠山のことをやりませんでしたか。
横舘報道制作局長
やりました。立入禁止区域の中に入った方が撮ったVTRを流しました。
斎藤委員
あれはすごい情報ですね。本来なら入ってはいけないのでしょうが、あれほどの情報をどこが流してくれたか、とても必要なことです。
桑折専務
あれは制止を無視して入って行った方が撮られたものですが、但し、取材の方法としてはいいのかという問題が残りますね。
斎藤委員
はい、それはありますね。でも必要な情報ですね。
及川委員
私がバスジャック事件に関して言ったのは文化論的な事ではなくて、重大事件が発生してリアルタイムでそれを報道している時に、他局との競争の関係においてどうなのかという問題です。加えて、バスジャックで実際に死者も出ましたし、中では残虐な行為が行われていたわけですから。また、順天堂大学の記者会見はまた違う問題でして、重大事件の発生時の報道において、公共放送を謳うNHKはそれなりの凛々しさを持っているが、それにどれだけ拮抗し得るかという点で、民放の限界を先に置いて手を拱いているのでは済まされない。それをどんな工夫で乗り越えられるかということを提起したわけです。ところで質問ですが、4月から始まったフライングタイムのニュースステーションへの効果はいかがですか。
蓮見社長
報告によりますと、フライングタイムそのものが視聴率アップに繋がるということはないという話しです。但し、最近のニュースステーションの視聴率は以前よりも良くなっております。私はフライングタイムよりもむしろ内容だと思います。フライングタイムが視聴率に全く影響がないとは言えませんが、それが主な原因ではないという分析をしているようです。
河邊業務局長
テレビ朝日でも、データがまだ少ないものですから、4月編成のフライングタイムについての総括がまだ出ておりませんが、今、社長がお話ししましたように、視聴率は上がっております。関東ではNHKと比較しますと2倍、関西ではそれ以上の視聴率です。岩手では5月の第1週はニュースステーションが10.9%、NHKニュース10が7.3%です。4月のスタート時には拮抗していましたが、5月時点では少し差がついています。
増子委員長
NHKのニュースは鳴り物入りの割には本当に迫力がありませんね。だったら久米さんということになりますね。
蓮見社長
NHKは本気でやっていないような気がします。少し様子見をしていると思います。ニュースステーションは15年もやっていますから。
横舘報道制作局長
そうですね。以前のニュースと全く変わりのない内容ですから。あるいは多少の変化があり得るかもしれませんね。
増子委員長
IATの皆さんの専門的な意見として、テレビ朝日はどの部分が弱いのですか。
蓮見社長
若者対象のF1、M1向けの番組が弱いです。そういう意味ではフジテレビ系列が強いです。大人から見れば、なぜこんな番組をやっているのか、という番組が多いと思います。業績に結び付くのは購買層でして、スポンサーにしても購買力がある層が見る番組のスポンサーになることが効果的です。斎藤委員から時代劇が減ってきたというお話しがありましたが、これは明らかに時代劇を見る層に購買力が無いからです。これは経営上、仕方のないことです。
文化論的に言えば、F1・M1向けの番組を作ってそれが日本の若者にどんな影響を与えているかと言われると、問題が多いと思います。テレビの影響力は強いものですから、果たしてそれがいいのかという問題です。局がどういう方向に向かうのかは、非常に難しい問題ですが、今のところテレビ朝日系列は、F1・M1といった層よりも他の層に重点を置いているというのが事実だと思います。但し、視聴者に選ぶ権利がありますから、その辺が難しいところです。業績もそれに伴っているということはあります。
桑折専務
今、お話しを聞いていると「サンデープロジェクト」は評価が非常に良いのですが、視聴率で見ると2桁いかないですね。恐らく、F1・M1は見ていないのかも知れませんね。
斎藤委員
やはり「サンデープロジェクト」が良いというのはここにいる委員の皆さんの層が見ているからなのでしょうね。
河邊業務局長
「サンデープロジェクト」の裏番組ではフジテレビ系列の「笑っていいとも!増刊号」がありまして、F1・M1層はそちらを見るようです。
蓮見社長
フジテレビの番組のようなものをタモリを起用してテレビ朝日が作っても、視聴率は上がりません。局イメージになってしまっていますから。同じ番組、同じタレントを起用しても、局イメージというのはとても強いですから。タモリを起用して「ミュージックステーション」をやっておりますが、「笑っていいとも!」のような数字は上がりませんから。
河邊業務局長
巨人戦のナイター中継にしても、同じナイターを放送してもテレビ朝日でやるよりも日本テレビでやるほうが視聴率が高いですしね。
蓮見社長
読売巨人軍と日本テレビという関連を皆さん承知していますから。
増子委員長
“朝日”という名前が悪いんですかね。
蓮見社長
正直申し上げますと、確かに“朝日”という名前が番組の視聴率を上げない理由の一つになっているという気がします。硬派ですし。ですからF1・M1はその辺で避けてしまう気もします。番組の作り方といった問題もあるとは思いますが、やはり局イメージというものは重要なポイントだと思います。
増子委員長
如何ともし難い要素があることはよく解りました。それだけに局イメージを変えるような衝撃的な番組を1本やれば、だいぶ変わる気もしますが。
蓮見社長
ですからテレビ朝日に今必要なことは、視聴率20%を常時越すような枠を作らなくてはいけないということです。それが原動力となって他の番組を引っ張って行けるからです。「はぐれ刑事」にしても「ニュースステーション」にしても17%前後でして、今、20%を越える番組が無いのが現実です。
増子委員長
他局には20%を超える番組はありますか。
蓮見社長
レギュラーでたくさんあります。やはりそういう番組が無いと原動力として引っ張って行けないですね。
増子委員長
やはり素人には解らない要素がありますね。
蓮見社長
それから、及川委員がおっしゃいました、NHKがリアルタイムでバスジャック事件を報道する件ですが、私は先日ヨーロッパに行って来ましたが、あちらでもNHKの国際放送でリアルタイムで放送していまして、かなりの人が見ておりました。やはりずっとヘリからの映像でしたが。ただ、何故あんな生温いことをやるんだということは言っていました。結局は死者が出てしまうのだから、多少の犠牲者が出てもあちらでは強行手段に出るそうです。
横舘報道制作局長
NHKで地上のカメラが遅れた理由としては、機材の調達の調整がつかなかったのだと思われます。また、ヘリのカメラはとても揺れがあって、かなり評価を落としたらしいです。
河邊業務局長
今回のバスジャック事件は、これからの報道取材体制に多くの課題を残しました。いわゆる広域圏中継という課題です。系列局同士のエリアや命令系統といった問題が挙がりました。我々も岩手山を抱えておりますので、勉強したいと思います。
増子委員長
ではそろそろ次に移りたいと思います。次回の開催予定をお願いします。
升谷事務局長
次回は6月29日(木)です。合評番組は土曜20時からの『ほんパラ!関口堂書店』と、6月14日(水)19時からの『岩手が命!!岩手人格付けチェック』です。よろしくお願いします。ほんパラについて簡単にご説明を願います。
河邊業務局長
『ほんパラ!関口堂書店』につきましては、メインキャスターが関口宏、パネラーが4名ほどです。毎回、一つのテーマを決めまして、古今東西のありとあらゆる本の中から、テーマに沿った特に面白い本を数十冊選びまして、パネラーがその本の内容と本にまつわるエピソードを、ドラマ仕立てやVTR取材したもので紹介をしながら、司会者とのやりとりの中でいかにその本が面白いかを伝えていく内容です。この番組は味の素が1社提供しておりまして、知的情報バラエティという位置付けの番組です。視聴率はまだ2桁には届いておりません。ターゲットはファミリーです。本の紹介をするというと面白くなさそうですが、それをいかに面白く見せるかが課題です。以上です。
増子委員長
とにかく今の学生は本を読みませんから。他にございませんか。
では、今回はこれで締めさせて頂きたいと思います。どうもありがとうございました。
7.審議機関の答申または改善意見に対してとった措置
特になし
8.審議機関の答申または意見の概要の公表
5/25 付 朝日新聞岩手県版に審議概要を掲載。
系列各局に議事録を送付。
本社受付に議事録を常備、閲覧に供す。
インターネットホームページに掲載。
9.その他の参考事項
特になし
10.配布資料
◎ 6月度単発番組編成予定表
速報
岩手朝日テレビの第38回放送番組審議会(委員長・増子義孝県立大学教授)は5月23日、盛岡市盛岡駅西通2丁目の同本社で開かれた。
まず、本社側から、6月の単発編成について説明を受けた後、「最近のテレビ番組全般について」審議があり、西鉄バスジャック事件のリアルタイム報道の在り方について、民放としての対応、殊に“今、大事な時、今重要な事…について、日頃から、どんな工夫がとられているのか、充分に考えて置く必要がある”などの意見が出された。