2月(第115回)
概要
岩手朝日テレビの第115回番組審議会が平成20年2月28日(木)、盛岡市盛岡駅西通の岩手朝日テレビ社内で開かれた。
合評内容は「いわてのいのちを考える~地域で守る命~」
- 「いのち」という大切なテーマだったので、放送する前に説明する場面がほしかった。
- ナレーションの話が聞きやすかった。
- 沢内村の昔を知るための古い写真がとても印象的だった。
- 30分という短い番組の中に内容を詰め込みすぎだった。
- テレビを通してパネルディスカッション的な雰囲気の構成だった。
- 医療を題材にする番組が多い中、内容がとても薄く感じた。
という意見が出た。
出席委員は、増子義孝委員長、稲垣義孝委員、小田島利昭委員、笠川さゆり委員、松本直子委員、宮野裕子委員、村田久委員、吉田政司委員の8名。欠席委員は、松尾正弘委員の1名。
議事録
1.開催日時 平成 20年 2月 28日(木)午前11時~
2.開催場所 本社3階 会議室
3.委員の出席
委員総数 9名
出席委員数8名
委員長 増子 義孝
委員 稲垣 義孝
委員 小田島 利昭
委員 笠川 さゆり
委員 松本 直子
委員 宮野 裕子
委員 村田 久
委員 吉田 政司
欠席委員数1名
委員 松尾 正弘
会社側出席者名
代表取締役社長 川崎 道生
常務取締役営業局長 幾度 恭嘉
取締役報道制作局長 小椋 和雄
取締役番組審議会事務局長 横山 博文
技術局長 佐々木 正樹
編成業務局長 小林 直紀
報道制作部長 波岡 功
報道制作部 佐々木 織恵
番組審議会事務局 佐藤 祐介
4.議題
(1)社長あいさつ
(2)前回審議会のご意見を受けて(報告)
(3)3月単発番組及び1月視聴率等について
(4)合評課題について
「いわてのいのちを考える~地域で守る命~」
放送日:2月2日(土)午後3時~午後3時30分
(5)次回審議会について
開催日: 平成20年3月27日(木)午前11時~
合評課題: 「野球の神様が教えてくれたこと」
~夢叶う!憧れのユニフォーム~
放送日時: 3月1日(土)午後2時~午後2時55分
5.概要
* 「いのち」という大切なテーマだったので、放送する前に説明する場面がほしかった。
* ナレーションの話が聞きやすかった。
* 沢内村の昔を知るための古い写真がとても印象的だった。
* 30分という短い番組の中に内容を詰め込みすぎだった。
* テレビを通してパネルディスカッション的な雰囲気の構成だった。
* 医療を題材にする番組が多い中、内容がとても薄く感じた。
6.議事の内容
横山事務局長
ただいまより、第115回放送番組審議会を開催いたします。
増子委員長議事をよろしくお願いいたします。
増子委員長
それでは川崎社長、ひとことお願いします。
川崎社長
皆さま、本日もお寒い中、お集まりいただきまして、ありがとうございます。
まず、最初にご報告させていただきたいことは、皆様ご存知のように、現在、デジタル放送の一本化に向けて、私たち放送事業者は、デジタル中継局を建設しております。昨年、12月の放送番組審議会が休みだったため、ご報告が遅くなりましたが、昨年12月に総務省の副大臣が、東北総合通信局長と盛岡においでになり、民放各社の社長と懇談をいたしました。おいでになった一番の理由は、現在のケーブルテレビ再送信問題であり、そこに理解を求めたいというのが一番の趣旨でありました。
デジタル放送の中継局は岩手の場合、非常に困難な問題を抱えています。これを何としてでも理解していただこうと話をいたしました。具体的に申し上げますと、07年度、東北6県で各県が建設した中継局の数が違いますが、青森、宮城県は中継局を各県ともに2局を作り、青森県が90%、宮城県が94%のエリアカバーになります。また、福島、岩手両県では、それぞれ6局作って、福島県が87%なのに、岩手県の場合67%と、エリアカバーが非常に低く、今回副大臣も岩手がこのように厳しい状況であることを初めて知ったようであります。全国的に見ても、陸の場合は岩手、海の場合は鹿児島が非常に厳しい状況のようです。総務大臣が前岩手県知事ですので、このままではいけないというお話もされ、帰ってから検討しますということでした。
また、今月初めには、民放全局に対して、中継局建設等のロードマップの最終的考え方の提出をしてほしいということでした。 わが社の場合、40局弱の中継局を想定しています。確実に建設するものと、状況によって建設するものとでより分けをし、最終的建設するものを30局、また、簡易な共同中継局を使ってできるもので、残りはやるということでお話しております。ですが他の在盛3局は、中継局を多く作らないといけないのですが、そこのところを明確にしないまま提出したため、もう一度明確にし、再度提出するようにとのことであります。来年3月末には公表されることになります。
岩手の場合、世帯数が少なく、点在している地区が多いために、たとえば、2世帯だけをカバーするために中継局を建設することは非常に厳しい状況であり、そのような問題をこれから詰めていこうと考えております。
また、合わせて集落の小さいところは共聴施設というもので、県と自治体がお金を出し合って組合組織で、視聴しているところが岩手県の場合、施設数が約700あります。ここの問題については、まだ対応が決まっておりません。まず放送事業者の我々が、どのような形でエリアをカバーするのかを検討します。
明確になった段階で県が主導し、国からの公的支援がどのくらい受けられるか非常にデリケートな部分の話を進めなければならず、2011年までに岩手の場合は大きな問題になってくると考えております。そのような状況であります。
景気は依然非常に厳しいです。
増子委員長
ありがとうございました。何かご質問ありますか。
それでは、「前回の審議を受けて」についてお願いいたします。
小椋報道局長
前回のご審議を受けて、ふるさとCM大賞についてですが、東北ふるさとフェスティバルが今月7日に仙台で初めて開催されました。
東北各県での大賞、おもしろ賞、ほのぼの賞を受賞した作品が参加し、一般の方と専門家の方の審査員でまた審査いたしました。フェスティバルということで、参加することに意義があるという雰囲気で出場しましたが、結果が出ますと、賞をとりたかったなというのが実際の感想であります。また他県の作品を見て、非常に参考になりました。今後も良い作品を作っていきたいと思います。
また、今年は35市町村が参加していただけるようにがんばりたいと思います。
増子委員長
ありがとうございました。それでは、3月単発番組と2月の視聴率についてお願いします。
小林編成業務局長
それでは3月の単発番組についてお話させていただきます。
3月は期首期末で、3月16日から4月第3週までレギュラー番組がないほど、単発番組が多数入っております。3月1日には次回の合評課題である、「野球の神様が教えてくれたこと」が放送されます。この作品は2007年度ホットネット東北といいまして、東北6県がお互いの制作を競い合う企画に出品した番組です。弊社は岩手県一戸町スポーツ少年団の少年野球ドキュメンタリー番組であります。大体この時期に各県の作品が放送されますので、ご興味があれば系列局の作品もご覧いただきたいと思います。
視聴率ですが1月の視聴率の出方を見た時に、13%はきっちり確保できると自信を持っておりましたが、実際には13%に至っておりません。これは、4姉妹探偵団という番組は今まで数字をそれなりにとっておりましたが、この週の裏番組で放送したデスノートという人気番組とぶつかり、一気に数字が下がり、挽回できない状況であります。ゴールデン・プライムは数字を落としているのですが、全日だけは8.3%とプラスでした。
この大きな要素は、平日の昼間に放送されている傑作ワイド劇場、また相棒に至っては平均が15%近くまで獲得していたことによります。スーパーモーニング、やじうまワイドは緩やかながら数字を伸ばしている状況です。
増子委員長
なにかご質問などございませんか。それでは合評番組に移りたいと思います。
稲垣委員
「岩手の命を考える」という作品を見て、沢内村が出ていましたね。この作品は医療のドキュメンタリーであり、沢内村の回顧録のような感じで見ていました。
冒頭に村の話から入り、東京で育った私は、昔の岩手を知らないので、岩手はこんな感じだったのだなと懐かしさも覚え、見ていました。しかし、番組が展開していき、あっという間に終わってしまって、とても見ごたえのある作品でした。
作品に出ていた増田さんという先生が、地域医療とは、県や行政、住んでいる人、それぞれが協力し合ってやっていくのが地域医療だとお話されていましたね。私もこの意味がよくわからずに見ていたのですが、釜石での出産のレポートや県の方の話などを聞いていて、増田さんのお話されていることは、こういうことなのかと短い時間ながらも納得できました。
また言葉の話の中で、何を話されているのかよくわからない部分もあったように思います。県のPR的な話の内容もあり、もう少し題材の取り込みがあってもよかったかもしれません。 行政と医者と地域の人たちが一体となって医療や福祉を行っていく事が地域医療であることを30分という短い時間の中で、理解ができました。
小田島委員
4局で同じ日に時間帯をずらし放送して、いったいなんだろうと思いながら見ていました。各局テーマが違い、IATがどうして地域医療について放送をしたのかについてはわかりませんが、この内容を取り上げたことは4局の中でも、いちばん良かったと思います。
増田さんという沢内の元病院長さんがお話されていましたが、医療と福祉の差はなくなり、地域ごとで助けてあげなくてはならないと言っていましたね。沢内の方言で若い先生がおばあちゃんに話しかけ、診察の場面では、医者と患者の格差がなくなり、気軽に話ができる中で診察を受けられる雰囲気が、場面を通して伝わっていきました。
最後のシーンでは西和賀の厳しい冬のシーンで終わっていました。以前に瀬川さんの番組のときは西和賀の新緑の季節で終わっていて、あの新緑があるのは、この厳しい冬があって生まれることを今回しみじみと感じながら見ていました。非常に良い番組でした。
笠川委員
最初に命の作法の上映会から始まったので、その映画についての番組なのかと思いました。テレビ4局共同プロジェクトということで、どういうことなのかな、と思い見ていましたが、小田島さんからのお話を聞いてなるほど。と思いました。
最初に私も長くこちらに住んでいても、沢内の若い先生の言葉を聞いて、聞き取れないところがありました。その点は字幕でフォローしていただきたかったです。
映像の右側に文字が縦に出ていましたが、どうしても落ち着いてみていられません。左側に字幕が出ることに慣れているので、場面にもよるとは思いますが、違和感があった部分です。
釜石の映像と県の部長の話が長く感じました。いろいろな理想やこれからのことをポイントをつかんでお話されたほうが良かったと思いました。とても良い話をされていましたので、つけっぱなしでも聞いていられるような作り方にしていただけたらと思いました。
松本委員
テレビ4局と銘打っているので、一体どういうことかわからないまま放送を見ましたが、各局大切なテーマに基づいた内容でしたので、放送する前に説明をしてほしかったと思いました。
良い題材でテーマを決めて放送しているのに、見ていくうちにどこに重点を置いている番組なのかがわからなくなり、この番組は県政番組なのかとさえ感じました。30分の番組に中身を詰め込みすぎて、整理ができないまま過ぎていったように感じます。
沢内の古い写真が出てきましたが、貴重なものでもあるので、インパクトが強く、とても印象に残りました。その後が資料不足というか、話の展開がつかめず、内容が薄くなってしまった結果、増田医師と県の部長さんのお話が長すぎて、まとまりがなく終わってしまいました。
ナレーションはとても聞きやすかったように思います。しかし、お医者さんと患者さんが出て、お二人の声とナレーションの方のトーンが明らかに違っていたように思います。とても聞き取りにくく思いました。マイクの入れ方の問題でしょうか。
増田先生のお話が、せっかく良い話をされ、キーワードも出ているので、画面に小さめで構わないので、キーワードを出して印象付けるのもよいではないでしょうか。一回見ただけでは内容的に分かりづらい番組だったと思います。
宮野委員
この番組のスポンサーは岩手県でしたか、コマーシャルが入りませんでしたね。
番組を見て感じたことは、この番組は一体、なにを言いたい番組なのか。地域医療が崩壊している中、それを言いたい番組だったのか。地域医療を考えることは重要なことですが、中味がなにを言いたいのか。増田先生は旧沢内村の地域医療について熱心に思っていらっしゃる事は通じましたが、その後、県の部長の話が淡々と続き、内容に整合性がなかったように感じました。
30分間見ていて、内容のない番組だったように思います。
老人が多く、地域医療については重要なことですが、その重要さがこの放送を見ていてもよく分かりませんでした。
県政番組を制作するには、制約もいろいろあるので、難しい部分も多いかと思いますが、取り決めを最初にして制作すればよかったと思います。
村田委員
「いわての命を考える」という題名の番組でしたが、まず一番に思ったことは、テーマに合っていないと思いました。命を考えるという内容にはなっていませんでしたね。
行政のPR番組のようで、番組の中にいろいろ入れようとし過ぎで、中味が伴っていませんでした。その土地の人々は、本当に地域医療に関して困っていると思います。その大変さがこの番組を見ていても、ぜんぜん伝わってきませんでした。
せっかく増田先生が出ているのだから、もっと内容を切り込んで制作しないといけないのではないでしょうか。
県と共同して作っている番組だから、このような内容でしか作れないという考えをもう少し見直してほしいと思います。
忙しく取材するのではなく、じっくりと時間をかけて取材をし、中味の濃い作り方に期待したいと思います。今は年金をもらって生活している方々の苦労、大変さを取り上げて考えながら制作しないといけませんね。県が絡むといつもこのような作り方になってしまう。ワンパターンな作り方を一切やめて、変えていかなくてはいけないと思います。
吉田委員
今回、4局同じ日にテーマに沿って放送するのは初めてですか。
その日は各局で時間差で放送したので、4局の番組をすべて見ました。各局、順番や役割は決まっていたのでしょうか。
テレビというメディアを通じて、パネルディスカッション的な雰囲気でしたね。パネラーの4題提起は的を射ていたと思います。今回放送した内容を無駄にすることなく、今後一層具体化するために、今後は県サイドを中心にして全体をコーディネートするような機会を作っていただきたいと思います。
今回のIATの番組総論として、30分の番組の中にいろんな材料を盛り込みすぎで、大変ではなかったでしょうか。焦点が合っていないように感じ、インパクトもそれほど強くなかったように思います。意欲的な意気込みがもう少しほしかったと思います。
現場の声はよく拾っていたと思います。医師と患者さんの映し出される表情から、信頼関係が見出されていました。
今回の放送内容については、地域全体にとって、重要な問題でもあります。今後一層深堀をしていただき、今後の放送に期待しています。
増子委員長
私も村田さんと同じ感想です。他と比較しているわけではありませんが、現在、医療の問題がいろいろ取り上げられ放送されている中で、非常にインパクトの強い内容にしなければ通用しないと思います。西和賀の命の作法から始まりましたが、2年半かけて制作しましたと言っていました。それだけで一つのドラマになるのではないでしょうか。
沢内村の若い先生がお話されている内容もまた、場面もさらっと映し出され、地域医療というテーマであっても深いものではなく、核心部分を突いていないように思いました。一番の問題は、言葉に頼りすぎた作り方になっていましたね。テレビとは、言葉ではなく、映像を見て感じていただけるように作らないといけないと思います。今回見ていて、テーマを拡散しているように思いました。一つのテーマを決めたら、その問題を深く追求し、もっと掘り下げていくといろいろな問題が出てきます。そうやって制作したらどうでしょうか。
最後まで見て、見る側に深い印象が残るような番組を作ってほしいと思います。今回の番組はもう一つ練り上げるべきでしたね。
報道制作局 片岡
貴重なご意見をありがとうございました。今回、2人で制作に臨んだわけですが、今回反省すべきところは、県の部長のインタビューが長すぎたこと、また、客観的に第三者が話すところは、最後に入れるべきだったと思いました。今回は、県政番組として制作しました。
川崎社長
今回制作するにあたって、何をやろうとしたのか。他の局はテーマが絞りやすかったので、制作もスムーズに言ったかもしれませんが、今回あえて、地域医療という難しいテーマに挑戦するのなら、縦軸としてこのテーマをどうやって切り開いていくかが重要だった。それが、地域医療という中にどのような問題があるのかを描ききっていないので、うまく制作ができす中途半端になってしまったのでしょうね。今後報道局長以下、今回いただいた意見を基に、もう一度話し合うべきだと思います。
村田委員
30分という短い時間の中で、どのような構成で制作し切り込んでいくかは大事なことです。時間をかけてリサーチしながら、絞り込みをしていかないと良い作品はできないと思います。
増子委員長
テレビというメディアは、映像が武器なんですから、インパクトの強い作品を作ってほしいと思います。
稲垣委員
30分の番組をあまねく人に放送する。一体どの層に向かって制作しているのか、また短い時間でどのぐらい掘り下げられるか、村田さんや委員長の意見はその通りだと思います。啓蒙的な意識付けとしてはよかったと思います。
川崎社長
どの層に向かって制作しているのかに至ってない作り方だったと思います。ただ並べただけの作りで、制作者の意図が伝わっていきません。30分の中で何を伝え、何をアピールしたいのか、そこのところが重要ですね。
増子委員長
その他、何かございませんか。
それでは、次回の審議会についてお願いします。
横山事務局長
次回の審議会は3月27日木曜日でございます。
合評課題は「野球の神様が教えてくれたこと」です。
よろしくお願いいたします。
増子委員長
それでは終了します。ありがとうございました。
7.審議機関の答申または改善意見に対してとった措置
ご指摘いただいた点を、今後の番組作りの参考とすることとした。
8.審議機関の答申または意見の概要の公表
3/5 朝日新聞岩手県版に審議概要を掲載。
系列各局に議事録を送付。
本社受付に議事録を常備、閲覧に供す。
インターネットホームページに掲載。
9.その他の参考事項
特になし
10.配布資料
◎ 3月単発番組編成予定表
◎ 2月岩手地区視聴率
◎ 1月視聴者応答記録
◎ 前回審議会のご意見を受けて
◎ 次回合評課題参考資料
◎ 東北ふるさとCMフェスティバル2008結果資料